🔰はじめに

「建設業許可」は、建設工事を請け負う上で避けて通れない制度です。
しかし、「自分の工事は小さいから関係ない」「500万円を超えたらダメと聞いた」といった話が一人歩きしており、正確な判断を誤るケースもあります。
この記事では、どんな工事に許可が必要になるのか、金額や契約内容による違いをやさしく整理します。行政書士としての視点から、判断に迷いやすいポイントも交えて解説します。

許可が「必要な工事」と「不要な工事」

建設業許可が必要となる建設業とは「建設工事の完成を請け負う営業」を言います。
つまり、他人から対価を得て工事を請け負う場合が対象であり、労働力の提供のみの場合や、自社の建物や設備を自分で改修する場合は許可は不要です。
一方で、単発の工事でも「反復継続して工事を行う意思」があれば業とみなされるため、「年に1回だけだから不要」とはなりません。

材料の提供・販売を行う業者でも許可が必要な場合がある?

建売住宅の売買や材料等の物品販売の場合などは請負には該当しないため、建設業許可の対象ではありません。

一方で、材料の提供・販売を行う商社やメーカー等が、発注者に対し、材料の提供・販売だけではなく、その建設工事までも請け負う場合は、建設業を営む者となります。その工事が「軽微な建設工事」に該当しない建設工事である場合には、材料提供・販売者は建設業許可が必要となります。

許可の要否は、金額・契約形態・工事の種類の3要素で総合的に判断することが重要です。

500万円のラインってどういう意味?

「500万円未満なら許可不要」と言われることが多いですが、正確には「1件の請負金額が500万円(税込)未満の工事」は、原則として許可を要しません。
この金額には、材料費・人件費・外注費をすべて含む総額が対象です。

ここで注意すべき点があります。

  • 一つの工事を2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額となります。
  • 注文者が材料を提供する場合は、市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請負代金の額に加えたものが請負代金の額となります。

したがって、ある工事が500万円以上となりそうだからといって、契約を分割して1件当たりの契約金額を500万円未満にすれば許可が不要、という訳にはいきません
また、契約金額が500万円未満でも、注文者が材料を提供する場合にはその分の金額(運送費も含む)を加えて500万円以上となる場合は許可が必要となってしまいます。

建築一式工事の場合は、1,500万円未満または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事まで、許可不要で可能です。

なお、税抜ではなく税込金額で判断する点にも注意が必要です。

「一式工事」と「専門工事」の違い

「一式工事」とは、元請業者の立場で総合的な企画、指導、調整の下に建設する工事を指します。具体的には、土木一式工事と建設一式工事の2種類です。
たとえば建築一式工事であれば、基礎・躯体・内装などを総合的に請け負う形態です。

これに対し、「専門工事」は電気工事や管工事など27種類あり、特定分野のみを担当する工事を指します。

なお、「一式工事」である土木工事業や建設工事業の許可があれば何でも出来ると思われがちですが、例え土木工事業、建築工事業の許可があっても、各専門工事業の許可がない場合は、軽微ではない建設工事における専門工事を単独で請け負うことはできません

許可区分も異なり、一式工事は「総合的なマネジメント力」が求められる許可であるのに対し、専門工事は特定技術分野の能力が問われます。
「工種の境目」が曖昧な工事では、請負範囲を明確にして契約書に記載することがトラブル防止になります。

元請・下請どちらでも必要?

建設業許可は、「元請だから必要」「下請だから不要」といった区別はありません
請負契約を結んで報酬を受ける側であれば、立場に関係なく許可が必要になる可能性があります。

たとえば、元請から「電気工事を頼まれた下請業者」でも、500万円以上の請負工事であれば許可が必要となります。
また、法人に限らず、一人親方であっても請負金額が基準を超える場合には、個人事業者として許可が必要となります。
「元請が許可を持っているから安心」と思わず、自社(自分)として要件を確認することが大切です。

最近では、建設業界もコンプライアンスが重視される傾向にあり、請負金額に関わらず下請先に建設業許可の取得を求めるケースも出てきているようです。
単純に法令上の許可要否だけでなく、将来的な事業の見通しも含めて総合的に判断することも重要になってきています。

行政書士の視点からの判断ポイント

許可の要否を判断する際、工事の請負金額だけに目を向けるのは危険です。
行政書士としては、以下の3点をあわせて確認することをおすすめします。

事業の継続性

たとえば、500万円未満の軽微な内装工事を年間に何十件も受注していて、今後も事業を継続して工事を行う予定の事業者であれば、建設業としての事業継続の可能性を高めるために、将来的な取引拡大を考えれば早めの許可取得が望まれます

元請・発注者からの信用・取引要件

実務では、取引先から「許可業者であること」を求められるケースが多くあります。
例えば、以下のようなことが考えられます。

  • 元請やゼネコンから下請発注を受けるための条件になっている
  • 官公庁・自治体・大手民間企業の入札参加資格を得るために必要
  • 工事保険や建設業保証制度の利用要件になっている

このように、建設業法では許可が不要でも「ビジネス上」必要となる場合があります。

工事の社会的責任・リスク管理

許可業者は、一定の技術者・財産的要件・誠実性を備えていることが証明されています。
そのため、以下のような点で「責任ある施工体制」を示す証拠になります。

  • 瑕疵や事故の予防や対応
  • 建設業法下請代金支払遅延防止法の遵守
  • 社会保険加入などによる長期的な人材確保企業イメージの向上

特に、公共工事や元請としての活動を視野に入れるなら、早めに許可を取得しておくことがリスク管理上のポイントです。

✅まとめ

500万円(税込)を超える工事は原則として許可が必要

元請・下請・個人事業主を問わず請負者は要注意

金額だけでなく「事業継続」「リスク管理」も判断要素

判断に迷う場合は、お気軽にご相談ください。

    ⇩

結城行政書士事務所