建設業許可を取得した後、「一度許可を取れば、そのままずっと営業できる」と思っていませんか?
建設業許可には5年間の有効期間があり、許可を維持して建設業を続けるためには、期限が来る前に更新申請を行う必要があります。
また、更新申請だけを忘れなければよいわけではありません。許可取得後は、毎年の決算変更届(決算報告)や、役員・営業所などに変更があった場合の変更届を適切に提出しておくことも大切です。
この記事では、建設業許可の更新について、全国共通の基本的な制度を説明したうえで、東京都知事許可の場合を具体例として、更新時期や注意点をわかりやすく解説します。
※建設業許可の取扱いや必要な確認資料などは許可行政庁によって異なる場合があります。実際に申請する際は、国土交通省や各都道府県が公表している最新の手引等をご確認ください。
1.建設業許可には「5年間」の有効期間がある
建設業許可は、一度取得すれば永久に有効というものではありません。
建設業法では、許可の有効期間は5年間とされています。
具体的には、許可のあった日から5年目の「許可があった日に対応する日の前日」をもって満了します。
たとえば、2026年8月5日に許可を受けた場合には、2031年8月4日が有効期間の満了日となります。
なお、有効期間の末日が日曜日などの休日であっても、その日をもって満了する点には注意が必要です。
引き続き建設業を営む場合には、有効期間が満了する30日前までに更新申請を行うこととされています。
更新申請中に有効期間が満了したら?
期限内に適切に更新申請をしていても、行政庁の審査が終わる前に現在の許可の有効期間が満了することがあります。
この場合、更新申請について許可または不許可の処分が行われるまでは、従前の許可が引き続き有効とされます。
そのため、「審査中に許可の満了日を迎えたから、直ちに無許可になる」というわけではありません。
ただし、これは適切に更新申請を行っている場合の話です。更新申請そのものをしないまま有効期間を過ぎてしまうケースとは異なります。

2.更新申請はいつからできる?
全国共通の基本的なルールとして、建設業許可の更新を受けようとする場合には、有効期間満了日の30日前までに更新申請書を提出することとされています。
一方で、「何日前から更新申請を受け付けるか」など、具体的な受付方法については許可行政庁の案内を確認する必要があります。
そのため、実際の申請では、自社の許可が「国土交通大臣許可」なのか「都道府県知事許可」なのかを確認したうえで、管轄する行政庁の最新情報を確認しましょう。
東京都知事許可の場合
東京都の建設業許可の手引では、更新申請の受付期間を、
「5年間の有効期間が満了する日の2か月前から30日前まで」
としています。
たとえば、許可日が8月5日の場合、有効期間の満了日は8月4日です。
この場合、原則として、
6月4日 更新申請受付開始
↓
7月5日 満了日の30日前
↓
8月4日 有効期間満了
というスケジュールになります。
更新の時期が近づいてから書類を確認すると、過去の届出漏れなどが判明して準備に時間がかかることもあります。
そのため、「30日前まで」という期限だけを意識するのではなく、満了日の2~3か月前には現在の許可内容や過去の届出状況を確認しておくと安心です。
なお、東京都では2026年4月1日以降に受け付けた更新申請について、従来のように有効期間満了日に合わせて許可通知書を発送するのではなく、審査終了後、速やかに許可通知書を発送する取扱いに変更されています。
3.更新でも建設業許可の要件を確認する
更新申請は、単に「有効期限を5年間延ばすだけ」の手続きではありません。
引き続き建設業許可を受けるためには、更新時にも許可の要件を満たしている必要があります。
たとえば、次のような事項が関係します。
- 建設業の経営管理を適正に行うための体制
- 営業所技術者等の配置
- 適切な社会保険への加入
- 誠実性
- 欠格要件に該当していないこと
- 一般建設業・特定建設業それぞれに求められる財産的基礎等
特に注意したいのが、許可取得後の人員や会社の状況の変化です。
たとえば、許可取得時に営業所技術者等となっていた人が退職している場合や、常勤役員等に変更が生じている場合などは、許可要件そのものに影響する可能性があります。
「5年前に許可を取得できたのだから、今回もそのまま更新できる」と考えず、現在も許可要件を満たしているかを事前に確認することが大切です。
4.更新申請にはどのような書類が必要?
更新申請では、建設業許可申請書のほか、現在の会社や営業所、役員等の状況、許可要件などを確認するための書類を提出します。
代表的なものとしては、
- 建設業許可申請書
- 役員等の一覧表
- 営業所一覧表
- 営業所技術者等一覧表
- 使用人数
- 誓約書
- 営業の沿革
- 健康保険等の加入状況
- 主要取引金融機関名
などがあります。
ただし、法人か個人か、営業所の状況、申請内容、過去の届出状況などによって必要書類は変わります。また、確認資料については許可行政庁によって取扱いが異なる場合があります。
東京都知事許可の場合
東京都は「建設業許可(申請・変更)の手引」のほか、ホームページ上で新規・追加・更新申請の必要書類や各様式を公開しています。
更新申請をする際には、以前使用した申請書をそのまま流用するのではなく、申請時点の最新様式と最新の手引を確認することをおすすめします。
また、東京都知事許可では、一定の更新申請について郵送による受付や電子申請も行われています。ただし、許可の有効期限が迫っている場合や、申請内容によっては利用できない場合があります。
特に東京都は、有効期限までおおむね10日以内となった更新申請について、郵送では入金や到着のタイミングによって許可が失効するおそれがあるとして、窓口での手続きを案内しています。
期限ぎりぎりの申請は避けることが重要です。
5.更新前に確認したい「決算変更届」と「各種変更届」
建設業許可を維持するうえで重要なのは、5年ごとの更新だけではありません。
許可取得後には、継続して行わなければならない届出があります。
毎事業年度終了後に行う「決算変更届」
建設業許可を受けた事業者は、毎事業年度終了後、所定の期限までに工事経歴書や財務諸表などを含む決算変更届を提出する必要があります。
「売上が少なかった」「建設工事の実績がなかった」といった理由だけで、届出そのものが不要になるわけではありません。
変更があった場合に行う「変更届」
許可申請時の内容に変更が生じた場合には、その内容に応じた変更届が必要になります。
たとえば、
- 商号・名称
- 営業所
- 資本金額
- 役員等
- 常勤役員等
- 営業所技術者等
などの変更です。
届出期限は変更事項によって異なります。
更新申請の準備を始めてから、
「過去の決算変更届を提出していなかった」
「数年前に役員が変わったのに変更届を出していなかった」
といったことが判明すると、更新申請の前に過去の届出状況を整理しなければならない場合があります。
そのため、建設業許可は「5年に一度だけ手続きをするもの」ではなく、許可取得後も継続的に管理していくものと考えることが大切です。
6.更新手続きで注意したい5つのポイント
① 更新期限ぎりぎりまで準備しない
「満了日の30日前まで」という期限だけを覚えていて、直前になって準備を始めるのは避けたいところです。
会社の状況や過去の届出を確認する時間も考え、早めに準備しましょう。
② 決算変更届を提出していない
毎年の決算変更届を忘れていないか確認します。
特に複数年にわたって届出がされていない場合には、更新直前になって慌てないよう、早めの確認が重要です。
③ 会社の変更事項を届け出ていない
登記上の役員や商号、本店所在地などを変更しただけで、建設業許可についても自動的に変更されるわけではありません。
建設業法上の変更届が必要な事項については、別途手続きが必要です。
④ 許可要件に関係する人が変わっている
常勤役員等や営業所技術者等の退職・交代などは、建設業許可の維持そのものに関係する可能性があります。
こうした変更があった場合には、更新時まで放置せず、その時点で必要な手続きを確認する必要があります。
⑤ 登記や届出の内容と現在の会社の状態が一致していない
5年間の間には、役員、営業所、資本金など、さまざまな変更が生じる可能性があります。
更新申請は、「現在の会社の実態」「法人登記の内容」「建設業許可上の届出内容」が一致しているかを確認する機会と考えるとよいでしょう。
7.更新期限を過ぎてしまったらどうなる?
特に注意したいのが、更新申請をしないまま許可の有効期間が満了してしまうケースです。
期限内に更新申請をしないまま有効期間が満了すると、従前の建設業許可は失効します。
その後も建設業許可が必要な工事を請け負うためには、原則として改めて許可を取得する必要があります。
新たな許可を受けるまでの間に、建設業許可が必要な工事を無許可で請け負うことはできません。
事業への影響が大きいため、
「更新期限が過ぎていることに気付いた」
「期限までほとんど時間がない」
という場合には、自己判断で放置せず、できるだけ早く許可行政庁や専門家に相談することをおすすめします。
8.建設業許可は「5年間のサイクル」で管理しよう
建設業許可を安定して維持するためには、更新期限だけを管理するのではなく、許可取得後の5年間を一つのサイクルとして考えると分かりやすくなります。
【図解:建設業許可を維持するサイクル】

建設業許可 → 毎年:決算変更届 + 変更があったとき:各種変更届 → 5年ごと:建設業許可の更新 →次の許可期間へ
このように、毎年必要な手続きと、変更時に必要な手続きを適切に行ったうえで、5年ごとの更新を迎えるのが基本です。
更新申請は突然発生する単独の手続きではなく、日頃から適切に許可を管理してきた結果として行う手続きと考えるとよいでしょう。
9.行政書士に更新手続きを依頼するメリット
建設業許可の更新申請では、申請書を作成するだけでなく、現在の会社の状況や過去の届出状況を確認することも重要です。
行政書士に依頼することで、
- 許可の有効期間・更新時期の確認
- 現在の許可内容の確認
- 過去の決算変更届・変更届の確認
- 現在も許可要件を満たしているかの確認
- 必要書類・確認資料の整理
- 更新申請書類の作成
- 必要に応じた変更届等の手続き
といったサポートを受けることができます。
特に、許可取得から5年間が経過すると、役員や技術者、営業所などの状況が変わっていることも珍しくありません。
単に更新申請書を作成するだけでなく、「現在の会社の状態と建設業許可の届出内容に食い違いがないか」を確認する機会として専門家を活用することも一つの方法です。
10.まとめ|建設業許可の更新は早めの準備が大切
建設業許可には5年間の有効期間があり、引き続き建設業を営むためには更新申請が必要です。
特に押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- 建設業許可の有効期間は5年間
- 引き続き営業する場合は、有効期間満了日の30日前までに更新申請を行うのが原則
- 更新時にも建設業許可の要件を満たしている必要がある
- 毎年の決算変更届や変更時の各種変更届も適切に行う
- 更新直前ではなく、余裕をもって許可内容や届出状況を確認する
東京都知事許可の場合は、原則として有効期間満了日の2か月前から30日前までが更新申請の受付期間とされています。
「まだ数か月あるから大丈夫」と思っていても、過去の届出漏れや許可要件に関係する変更が見つかれば、確認や準備に時間がかかることがあります。
更新期限が近づいている方はもちろん、「決算変更届をきちんと提出できているか分からない」「役員や営業所技術者等が途中で変わっている」といった場合には、早めに現在の許可状況を確認しておきましょう。
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参考情報
本記事の制度説明は、建設業法、国土交通省の建設業許可に関する資料および東京都都市整備局「建設業許可(申請・変更)の手引」等を参考にしています。申請時には最新情報をご確認ください。
- 国土交通省:建設業許可制度に関する案内
- 東京都都市整備局:建設業許可(申請・変更)の手引
- 東京都都市整備局:建設業許可申請・届出に関する案内