はじめに

近年、リユース市場の拡大に伴い、中古品の売買をビジネスとして行う事業者が増えています。

メルカリやヤフオク、Amazon、自社ECサイトなどを利用すれば、実店舗を持たなくても全国の顧客に商品を販売できる時代になりました。

一方で、

「インターネット販売だから古物商許可は不要だと思っていた」

という方も少なくありません。

しかし、中古品を仕入れて販売する事業を行う場合、販売方法がインターネットであっても古物商許可が必要になるケースがあります。

この記事では、古物商許可の基本から、ネット販売との関係、個人と法人で異なる申請手続きまで、経営者の方向けに分かりやすく解説します。

1. 古物商許可とは?

古物商許可とは、古物営業法に基づき、中古品の売買等を事業として行うために必要な許可です。

この制度の目的は、

  • 盗品等の流通防止
  • 犯罪捜査への協力
  • 健全な中古品市場の維持

にあります。

中古品市場は取引件数が多く、盗品が流通するリスクもあるため、事業者を適切に管理する仕組みとして古物商許可制度が設けられています。

2. 「古物」とは何か?

「古物」と聞くと古美術品や骨董品をイメージする方もいますが、古物営業法における古物の範囲はもっと広く定義されています。

例えば次のような商品も古物に該当します。

  • パソコン
  • スマートフォン
  • カメラ
  • 家電製品
  • 家具
  • ブランド品
  • 時計
  • 書籍
  • ゲーム機
  • 古着

また、一度も使用されていなくても、一度取引された商品は古物に該当する場合があります。

そのため、「未使用品だから古物ではない」とは限りません

3. どんな場合に古物商許可が必要になるのか?

古物商許可が必要になる代表的なケースは次のとおりです。

  • 中古品を仕入れて販売する
  • 中古ブランド品を買い取って販売する
  • 古着を仕入れて販売する
  • 中古スマートフォンを販売する
  • リサイクルショップを運営する

ポイントは、

中古品を仕入れて、利益を得る目的で反復継続して販売するかどうか

です。

事業として行う場合は古物商許可が必要になる可能性が高いと考えてよいでしょう。

4. ネット販売でも古物商許可は必要

よくある誤解

古物商許可の相談でよくあるのが、

「店舗を持っていないので許可は不要ですよね?」

という質問です。

しかし、これは誤解です。

古物営業法では、

販売方法が店舗かインターネットかは基本的に関係ありません。

重要なのは、

「中古品を仕入れて販売する営業を行っているか」

という点です。

許可が必要になる具体例

例えば次のようなケースでは古物商許可が必要になる可能性があります。

  • メルカリで仕入れて販売する
  • ヤフオクで仕入れて販売する
  • Amazonで中古品を販売する
  • 自社ECサイトで中古品を販売する
  • 中古ブランド品を買い取って販売する
  • 中古スマホやパソコンを販売する

ネット販売だからといって許可が不要になるわけではありません。

許可要否のイメージ

ケース許可
自分の不要品を売る不要
読み終えた本を売る不要
中古ゲームを仕入れて販売する必要
古着を仕入れて販売する必要
中古ブランド品を販売する必要
中古スマホを販売する必要

5. 許可が不要なケース

すべての中古品取引に許可が必要というわけではありません。

代表的な例として、

  • 自分が使用していた物の売却
  • 引越しや整理による不要品の売却
  • 自分で輸入した新品の販売
  • 新品のみを扱う事業

などは通常、古物商許可の対象外です。

ただし、取引内容によって判断が異なる場合もあるため、不安な場合は専門家へ相談することをおすすめします。

6. 個人と法人で異なる申請手続き

古物商許可は、個人でも法人でも取得できます。

ただし、準備する書類や確認事項には違いがあります。

個人事業主の場合

個人で申請する場合の主な書類は次のとおりです。

  • 許可申請書
  • 住民票(本籍が記載されたもの)
  • 略歴書
  • 誓約書
  • 身分証明書
  • URL使用権限資料(ホームページ等を開設して古物の取引を行う場合)

副業として中古品販売を始める方や、小規模なネットショップを運営する方が該当します。

法人の場合

法人で申請する場合は、個人申請より準備書類が増えます。

主な書類は、

  • 許可申請書
  • 定款
  • 履歴事項全部証明書
  • 役員全員の住民票(本籍が記載されたもの)
  • 役員全員の略歴書
  • 役員全員の誓約書
  • 役員全員の身分証明書
  • URL使用権限資料(ホームページ等を開設して古物の取引を行う場合)

などです。

法人申請では、役員全員について欠格事由の確認が行われるため、準備に時間がかかることがあります。

古物商許可の基本書類は全国共通ですが、営業所の状況やインターネット利用の有無によって追加資料が求められる場合があります。申請前に管轄警察署へ確認することをおすすめします。

個人と法人の申請手続の違い

項目個人法人
申請者本人法人
定款不要必要
登記事項証明書不要必要
審査対象本人役員全員
書類数少ない多い
準備期間比較的短いやや長い

7. 古物商許可取得までの流れ

STEP1 営業所を決める

まず営業所を定めます。

自宅兼事務所で申請できるケースもありますが、賃貸物件の場合は使用制限の確認が必要です。

STEP2 必要書類を準備する

個人と法人で必要書類が異なります。

不備があると申請が受理されない場合もあります。

STEP3 警察署へ申請する

営業所所在地を管轄する警察署を通じて申請します。

STEP4 審査

申請後、公安委員会による審査が行われます。

一般的には1か月半~2か月程度が目安です。

STEP5 許可取得

許可証の交付を受けた後、正式に古物営業を開始できます。

8. 無許可営業のリスク

古物商許可が必要であるにもかかわらず取得せずに営業した場合、古物営業法違反となる可能性があります。

また、法的なリスクだけでなく、

  • ECモールからの指摘
  • 取引停止
  • 取引先からの信用低下

など、事業上の不利益が発生することもあります。

ネット販売事業者であっても、許可の要否は必ず確認しておきたいところです。

9. 行政書士に依頼するメリット

古物商許可申請は比較的取り組みやすい許認可ですが、営業所要件や必要書類の確認など、初めての方には分かりにくい部分もあります。

行政書士に依頼することで、

  • 必要書類の確認
  • 申請書類の作成
  • 法人申請時の役員関係書類の整理
  • インターネット販売に関する届出事項の確認

などのサポートを受けることができます。

本業に集中しながらスムーズに許可取得を進めたい方にとって、大きなメリットがあるでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. メルカリで不用品を売るだけでも古物商許可は必要ですか?

通常は必要ありません。

自宅にある不要品や、以前自分で使用していた物を売却する場合は古物営業には該当しません。

ただし、転売目的で商品を仕入れ、継続的に販売している場合は古物商許可が必要になる可能性があります。

Q2. ヤフオクで中古品を販売する場合も古物商許可は必要ですか?

中古品を仕入れて販売するのであれば、販売方法がヤフオクであっても古物商許可が必要です。

「インターネットだから不要」ということはありません。

店舗販売と同様に、事業として中古品を取り扱う場合は許可取得を検討しましょう。

Q3. 副業で中古品を転売しています。古物商許可は必要ですか?

副業か本業かは判断基準ではありません。

副業であっても、

  • 中古品を仕入れる
  • 利益を目的とする
  • 継続的に販売する

という実態があれば古物営業に該当する可能性があります。

副業だから許可が不要とは限らないため注意が必要です。

Q4. 法人設立前に個人で取得した古物商許可はそのまま使えますか?

使用できません。

古物商許可は申請者ごとに付与されるため、個人名義の許可と法人名義の許可は別です。

個人事業として取得した許可で、法人として営業を行うことはできません。

法人で古物営業を行う場合は、法人名義で新たに許可申請を行う必要があります。

Q5. 自宅を営業所として申請できますか?

可能な場合があります。

実際に多くのネットショップ事業者や個人事業主が自宅を営業所として申請しています。

ただし、

  • 賃貸借契約の内容
  • 管理規約
  • 使用承諾の有無

などを確認する必要があります。

特に賃貸マンションの場合は事前確認が重要です。

Q6. 古物商許可の取得にはどれくらいの期間がかかりますか?

申請書類に問題がなければ、一般的には申請から許可取得まで約40日程度が目安です。

ただし、書類の補正や追加資料の提出が必要になるとさらに時間がかかる場合があります。

中古品販売事業を始める予定がある場合は、余裕を持って準備することをおすすめします。

Q7. 古物商許可の申請手数料はいくらですか?

都道府県による大きな差はありません。

現在は19,000円の申請手数料が必要です。

このほか、

  • 住民票取得費用
  • 登記事項証明書取得費用(法人の場合)
  • 行政書士への依頼費用

などが発生します。

Q8. ネットショップだけを運営する場合でも営業所は必要ですか?

必要です。

実店舗を持たない場合でも、古物営業法上は営業所を定める必要があります。

自宅兼事務所や事務所専用物件など、営業の拠点となる場所を申請します。

Q9. 新品だけを販売する場合は古物商許可は必要ですか?

通常は不要です。

メーカーや卸売業者から仕入れた新品のみを販売する場合は古物営業には該当しません。

ただし、新品と中古品を混在して取り扱う場合は注意が必要です。

Q10. 行政書士に依頼するとどのようなメリットがありますか?

行政書士に依頼することで、

  • 許可要否の確認
  • 必要書類の案内
  • 申請書類の作成
  • 法人申請時の役員関係書類の整理
  • 営業所要件の確認

などのサポートを受けることができます。

特に法人申請やインターネット販売事業の場合は、事前確認事項が多いため専門家を活用するメリットがあります。

まとめ

中古品を仕入れて販売する事業を行う場合、インターネット販売であっても古物商許可が必要になるケースがあります。

特に、

  • メルカリ
  • ヤフオク
  • Amazon
  • 楽天市場
  • 自社ECサイト

などを利用した中古品販売は注意が必要です。

また、個人と法人では必要書類や審査対象が異なるため、事業形態に応じた準備が求められます。

「自社の場合は許可が必要なのだろうか?」
「法人で申請する場合は何を準備すればよいのか?」

といった疑問がある場合は、事業開始前に専門家へ相談することをおすすめします。

    ⇩

結城行政書士事務所